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提案の記録

001 お茶割のための茶葉

依頼。「美味しいお茶割用の茶葉が欲しい」。飲食店からの相談でした。

前提。一般的な緑茶(蒸し製)の要素は、旨味、甘味、渋味。すべて味の要素で、香りは弱い茶です。焼酎には味と香りの両方があるため、普通の蒸し製緑茶で割ると、茶が焼酎に負けます。「緑茶ならどれでも」と考えてこの前提を飛ばすと、お茶割はここで失敗します。

一次提案。香りの特徴が出やすい釜炒り茶を提案しました。蒸す代わりに炒って作る緑茶で、香りが立つため、焼酎の中でも茶の輪郭が残ります。

制約。「色は緑が良い」という希望が返ってきました。鮮やかな緑の水色は蒸し製の特徴で、釜炒り茶では出ません。香りを取れば色が消え、色を取れば香りが消える。既製品のどれか、では解けない条件になりました。

最終判断。色の鮮やかなかぶせ茶を深蒸しにし、烏龍茶を少量ブレンドしました。深蒸しのかぶせ茶が緑の水色を作り、烏龍茶が焼酎に消えない香りを足します。

捨てた選択肢。釜炒り茶をブレンドする形でも成立はしました。烏龍茶を選んだ理由は、この店が玄米茶のお茶割も別に出す予定だったからです。お客はアルコールが入った状態で、しかも茶を飲みに来ているわけでもありません。その条件で二つのお茶割の違いがはっきり伝わるのは、釜炒り茶ではなく烏龍茶だと判断しました。

茶の品質と、その店にとっての最適は、別の軸です。品質の高い茶が、その店の条件で最良の茶になるとは限りません。何で割るか、何色であるべきか、隣に何が並ぶか、誰がどんな状態で飲むか。私たちは品質を測ったうえで、そこから先を店ごとに逆算します。